退団、卒業、退社。ところ変われば、惜しまれつつも祝福されることなのに、どうしてそうじゃないんだろう。10月の半ば、友だちと食事をしながらそんな話をした。確かに退所するタレントをおめでとうと送り出すことは多くはない。次のステップへ向かう最後の一瞬として華々しく送り出されるのは、ごく一部の本当に本当に円満退社の人だけ。それ以外の多くの人は、静かに事務所を去っていく。
2024年10月21日。金指くんが美 少年の金指一世である残り日数は、10日。華々しく最後の日を迎えられるのだろうか。目を閉じてその瞬間を思い描くと自然と目蓋の裏が熱くなる。6人の笑顔、涙、ありがとう、いってらっしゃい、頑張ろう。……現実に戻り、これは都合が良すぎるなと苦く笑う。ブログもYouTubeも、すでに5人の美 少年の新たな物語が始まりつつある。複雑な気持ちにはなるけど、とやかく言うつもりはない。だけど、都合のいい妄想のように大々的に華々しく送り出すことが叶わないとしても、私は金指くんの退所を惜しむと同時に、新たな道への第一歩を心から祝おう。そう思って、このブログを書き始めた。
金指くんを初めて認識したのは2018年1月の少クラだった。13歳とは思えない完成された美しさに惹かれ、『見つけてしまった』と思った。金指くんのファンになったのは2020年の8月だった。コロナ禍の暗い毎日に彩りを与えてくれたのは、あの日より少し大人になった金指くんだった。配信ライブでこの子を推そうと決意した。美 少年6人でのドラマが嬉しくて、ロケ地巡りにもいった。そして、冬のドリボ——金指一世という美しい少年が、この世界に存在していることを、私は知ってしまった。帝国劇場の広い舞台の上、私にとってのステージの真ん中には、いつも金指くんがいた。世界が輝きを増したあの夜を、私は一生忘れない。
どこかぼんやりとしていた瞳に、意志の強そうな光が宿ってからどれくらいが経っただろう。私が応援し始めて4年、16歳だった金指くんは20歳になった。ダンスはメキメキ上手になって楽しそうに生き生きと踊るようになった。ちょうどコロナ禍に始めたキックボクシングのおかげで体つきも男らしくなった。パッケージ売りの商品にそのまま自分を当てはめずに、好きなものを自分のパフォーマンスに取り入れるようになった。あどけなさと甘えたなところと無邪気さは失わずに、金指くんはおとなになった。ステージの上、底なしの闇みたいな感情の読めない瞳をして、定型文みたいな笑顔を貼り付けていた少年は、もうどこにもいない。今在るのは、自分の道を信じて進む、ひとりの青年。入所から8年3ヶ月と少し。少年が大人になるには十分すぎる時間だったのかもしれない。この期間で、学び、感じ、育てた感情は、感覚は、きっとこれから先も金指くんの武器になると、彼よりもおとなである私は実感を伴って確信している。
金指くん、初めてのアリーナコンサートで、自分の成長のために険しい道を選ぶと高らかに宣言をしてくれたこと、覚えてる? あの日聞かせてくれた決意は今も変わってない? そうであってほしい、と心より願う。険しくても、困難でも、自分の信じた道を進んでほしい。まっすぐでなくてもいい、疲れたら休んでもいい、それでも、道から外れることなく、未来へと。——そんなことを思っていたから、10月31日更新の美Daysを読めて、本当によかったと思う。
金指くんが、ジャニーズ(いまは敢えてこの名前を使わせて欲しい)の、美 少年の、金指一世であったことを私は忘れない。忘れられるわけがない。大好きだった。本音を言うと、もっともっと見ていたかった。美 少年がデビューする日を、美 少年の金指くんが今よりも大きく・有名になって活躍する日を、見届けたかった。ステージの上の真剣な表情を、蕩けるように笑う姿を、楽しそうな笑い声を、5人のお兄ちゃんに囲まれた金指くんを、6人の美 少年を、ずっとずっと見守りたかった。
この数年で色々なことがあった。楽しいことばかりじゃなかっただろう。悔しい思いや嫌な思いもたくさんしただろう。それでも、ステージに立ち続けてくれてありがとう。たくさんの素敵な思い出をありがとう。人生のひとつのステージとして、ジャニーズを選んでくれてありがとう。走り切ってくれてありがとう。
こんな日が来るなんて思ってなかった。寂しくないなんて言えやしないし、今からでも嘘だよって言ってほしい。 なんで? どうして? 今じゃなきゃダメなの? 今のままじゃダメなの? 何度も何度も問いかけたけど、答えは永遠に返ってこないから、もう問いかけるのはやめにしようと思う。そして、金指くんの決断を尊重し、見守りたいと思う。
いま、今日までのすべてを心の宝箱にしまって、去り行く背中に手を振る。
本当にお疲れさま。自分の決めた道、抱いた夢のために、何があっても負けずに頑張ってね。頑張り屋さんの金指くんなら、必ず夢を叶えることができる。そう信じている。金指くんなら、大丈夫。
きみの未来に、光が照らし続けますように。願いながら瞼を閉じる。ありがとう。さようなら。未来のどこかで、答え合わせをさせてね。