I like what I like

アイドルが好きです。

現場の西畑大吾サイコーって話。

「大恋愛と子育てが終わったので、結婚します」

これは、去年の夏、交通事故的に大吾くんのことを好き(というのはなんか甘ったるくて照れるのだがこれ以上最適な言葉が見つからないので)になった当時、友達に心境を説明する時に使っていたセリフである。私の中のアイドルオタクの私の人格はいつの間にか未婚の母になったらしい。心配するのが好きというドエム極まりない嗜好のため、アイドルのことを心配して心配して心配し続けた約10年、もういい加減疲れたよ…の瞬間に、現れたのが大吾くんで、その安定感にとうとう私も結婚しちゃうかぁ幸せになっちゃうよ、と思ったのが、去年の夏。

それから一年。2025年夏、私は幸せになれたのでしょうか?答えは〜?

——はい、なれました。

 

待ちに待ったツアーが始まり、例のごとく現場のオタクの私は気が狂っているわけですが、気が狂ってる分を差し引いてもとても幸せだ。なぜなら、現場の大吾くんが最高なのだ。映像で見ていた時から薄々気づいていたことだが、現場の大吾くん、本当に人変わる。歌詞が2025年版にアップデートされたメンバー紹介曲Seven Starsでも「憑依型」という言葉があるけど、これは本当。フレッシュもかっこいいもかわいいもノーブルもセクシーも全部やり切る責任感のある男、それが西畑大吾。とにかく全部をやり切ってくれるので清々しい。フレッシュな曲はアイドル然とした笑顔、かわいい曲は全力でぶりっ子だし、ノーブルな曲の大吾くんは花が綻ぶみたいな笑顔と気品に満ちた所作が魅力的で、何にもないところで突然ひとりくるっとターン入れてきたりして視線泥棒がすぎる。かっこいい曲の大吾くんは目力と気迫がこわすぎるし、セクシーな曲の大吾くんは苦悶に満ちた表情までダンスの一部になっていて見応えがある。今年のコンサートの目玉のフライングでは、本当に空を飛んでるみたいな自由さで空中を翔けている。体の使い方が上手で魅せるのが上手いし、指先までちゃんと気を抜かない。そういう細かい魅せ方のテクニックに、何百回も繰り返したからこうなったんだろうなという努力の痕跡を感じられるところもいい。現場で大吾くんを目の当たりにして、アイドル西畑大吾は、西畑大吾が本気で作り上げた偶像なんだなと強く思った。私の知らない関ジュのセンターの大吾くん、その立場がこの人をこんなに磨かれた存在にしたのだろうと、今の姿を見るだけでわかる気がする。現場の話からは逸れるけど、私は大吾くんの過去のインタビューや過去を語る映像等を見ていない。アイドル西畑大吾の完成度が高すぎるから、光の当たっていないところにあるものにあまり興味がないのかもしれない。もちろん、目に入ってくるものは読むし、見る。でも、能動的に探してまで知る必要がないと感じている。知ったことで損なわれるなんて微塵も思ってないけど、せっかくなら大吾くんが作り上げたアイドル西畑大吾から受け取るものを優先したい。そういう気持ちで現場の大吾くんを見つめている。(こういう解釈をしている時点ですでに優先できていないのも事実だけど)

そんな磨き上げられた大吾くんと同時にメンバーを前にして大きな口を開けて笑っている大吾くんが見られるのも現場のいいところだと思う。公演が回数を重ねる毎に、お決まりの流れみたいなものができて、その戯れの瞬間にしか見れないとびきりの笑顔が微笑ましくて、MCでふざけたりつっこんだりいじられたりする度に、くるくる変わる表情もかわいいなと思う。

あとこれは西畑担だけが見ている幻覚なのかもしれないけど、大吾くんは自分のオタクを見る時に本当に優しい表情をしている。うちわを持つのが好きなくせに、持っている時はなんとなくごめんという気持ちが消えないのだけど(前世でアイドルにゴミを見るような視線を向けられたのかもしれない)、あの優しい表情を見るとなんだか許された気分になる(たとえそれが自分に向けられたものでなくても)ので、この人すごいなと思う。個別ファンサでつらないのにちゃんとオタクを手懐けていて、むしろちょっとこわくなった。そういうところもアイドルとしてすごい。

 

去年の夏に思った、幸せになっちゃうよ、が本当になって最高。現場って楽しい。

流転する光〜timeleszについて

2012年のはじめ、ジャニーズソングだけが流れるオールナイトのイベントに行ったことがある。横浜での予定を終えて、その足で六本木のクラブに向かった。私はオールが苦手だから、朝まで起きてられるかなぁとずっと考えていたと思う。2011年はデビューが2組続いていた。当時の私は嵐のファンで、遠巻きにそれを眺めていたから、デビュー曲をちゃんと聴いたのはその日がほとんど初めてだった気がする。『何かが始まる』。黎明を思わせるイントロとフロアの熱気。ペンライトの光。予感を感じされる夜は更け、朝が来る。冬の匂いのする六本木通りは、朝の光を纏って煌めいていた。

そんな予感と共に、彼らに関する私の物語は幕を開けた。自分の中の熱気が最高潮に達したのは2013年だった。始まりは現金なもので、たったひとつのファンサだったけど、私はあの頃の硝子の刃のような風磨くんが大好きだった。大人と世間にあてがわれた宿命に翻弄され抗おうとする、その若さと青さゆえの輝きが愛しくて、眩しくて、ずっと見つめていたかった。近づいてくる暗い足音が聞こえないふりをしながら夏を終え、冬を迎える。巡ってきた夏の終わり、彼らから距離を置くようになった。行けなかった公演もあるけど、なんだかんだ14年間現場へ通い続けた。14年の中で、蟠りなく楽しめた時間はどれくらいあっただろう。彼らに関する私の物語は、笑顔と並んで涙があるような、複雑なものだったと思う。5人で始まって、5人だけど5人じゃない時間が続いて、やっと5人に戻った時は嬉しくて、涙が出た。緑に染まったペンライトの海やバラで埋め尽くされた会場を、キラキラと輝く5つの光を、私は忘れることはないだろう。

 

2024年、4人を経て3人になった彼らの大きな決断。2025年、新たに5人のメンバーを迎えて、新しい物語が始まった。夏が近づく千葉。南船橋の駅で降りるのは何年ぶりだろうか。timelesz projectは見ていない。『見ない』ことを選んだ。自分の性質から考えると、あまりポジティブに見られないとわかっていた。だから、私は何も知らない。あの日、何のドラマも知らないまま始まった物語を、もう一度始めるつもりで電車に乗った。発足時に入会したFCの有効期限が迫っていた。更新手続きはまだしていない。

オープニングが始まった瞬間、売れるな、と思った。原くんがいないから完全じゃないのに、バランスのよさは伝わった。会場の大半がオーディションから彼らを見ているからこその期待感、それに応えてくれる熱意。新メンバーには荒削りなところもあったけど、それもまた初々しくて、だからこそ、勢いがある。それでも、突然、新しい始まりに高鳴った鼓動の音が遠くなる。思い出に溢れた曲が変わっていく瞬間に打ちひしがれた。ペンライトの海もモニターも滲んで見えなくなった。あぁもうここに、健人くんは、マリウスは、いないんだな。あぁもう二度と、ふまけんの背中合わせは、見られないんだな。実感を伴ってやっと理解した。暴走する感情を、遠くから理性が見ている。こういう気持ちになる人がいることを、彼らだってわかっていたはずだ。それを選んだ理由をぐるぐると考えながら、滲む視界に映る照明の光を見つめていた。いつの間にか3人のtimeleszが始まった時の不安が消えていることには、気付いていた。大きなひとつの決断の結果を目の当たりにして、風磨くんの肩の荷はひとつおりたんだろうなと思った。結果として背負うものはまた増えただろうけど。大丈夫。ぜんぶうまくいく。そう言い切ってくれる風磨くんがいてくれるなら、私もぜったい大丈夫。まだ心は駄々をこねているけど、変わっていくものを受け入れられると思った。

コンサートが終わって、泣きながらラーメンを食べて、FCを更新する。物語は始まらなかった。でも、迷いはなかった。だって、終わってなかったんだから。私は、Sexy Zoneをなかったものにしてほしくなかった。あの日々があったことを覚えていたかった。これから先も、時折痛みを伴う瞬間がくるかもしれない。でも、その痛みはtimeleszがSexy Zoneの地続きにいてくれることを感じられる痛みだと、私は思う。

 

窓の外を通り過ぎて行く。夜空を彩り消えていく。地平線に集まっていく。光は生まれて生きて消えて、また生まれる。そこに切なさが伴っていても、いつか私を包むゆりかごになるように、誰がこの物語を彩る光たちを憎むことがあるだろうか。

私は、流転する光を見つめている。

きみの未来に、光が照らし続けますように

退団、卒業、退社。ところ変われば、惜しまれつつも祝福されることなのに、どうしてそうじゃないんだろう。10月の半ば、友だちと食事をしながらそんな話をした。確かに退所するタレントをおめでとうと送り出すことは多くはない。次のステップへ向かう最後の一瞬として華々しく送り出されるのは、ごく一部の本当に本当に円満退社の人だけ。それ以外の多くの人は、静かに事務所を去っていく。

2024年10月21日。金指くんが美 少年の金指一世である残り日数は、10日。華々しく最後の日を迎えられるのだろうか。目を閉じてその瞬間を思い描くと自然と目蓋の裏が熱くなる。6人の笑顔、涙、ありがとう、いってらっしゃい、頑張ろう。……現実に戻り、これは都合が良すぎるなと苦く笑う。ブログもYouTubeも、すでに5人の美 少年の新たな物語が始まりつつある。複雑な気持ちにはなるけど、とやかく言うつもりはない。だけど、都合のいい妄想のように大々的に華々しく送り出すことが叶わないとしても、私は金指くんの退所を惜しむと同時に、新たな道への第一歩を心から祝おう。そう思って、このブログを書き始めた。

 

金指くんを初めて認識したのは2018年1月の少クラだった。13歳とは思えない完成された美しさに惹かれ、『見つけてしまった』と思った。金指くんのファンになったのは2020年の8月だった。コロナ禍の暗い毎日に彩りを与えてくれたのは、あの日より少し大人になった金指くんだった。配信ライブでこの子を推そうと決意した。美 少年6人でのドラマが嬉しくて、ロケ地巡りにもいった。そして、冬のドリボ——金指一世という美しい少年が、この世界に存在していることを、私は知ってしまった。帝国劇場の広い舞台の上、私にとってのステージの真ん中には、いつも金指くんがいた。世界が輝きを増したあの夜を、私は一生忘れない。

どこかぼんやりとしていた瞳に、意志の強そうな光が宿ってからどれくらいが経っただろう。私が応援し始めて4年、16歳だった金指くんは20歳になった。ダンスはメキメキ上手になって楽しそうに生き生きと踊るようになった。ちょうどコロナ禍に始めたキックボクシングのおかげで体つきも男らしくなった。パッケージ売りの商品にそのまま自分を当てはめずに、好きなものを自分のパフォーマンスに取り入れるようになった。あどけなさと甘えたなところと無邪気さは失わずに、金指くんはおとなになった。ステージの上、底なしの闇みたいな感情の読めない瞳をして、定型文みたいな笑顔を貼り付けていた少年は、もうどこにもいない。今在るのは、自分の道を信じて進む、ひとりの青年。入所から8年3ヶ月と少し。少年が大人になるには十分すぎる時間だったのかもしれない。この期間で、学び、感じ、育てた感情は、感覚は、きっとこれから先も金指くんの武器になると、彼よりもおとなである私は実感を伴って確信している。

金指くん、初めてのアリーナコンサートで、自分の成長のために険しい道を選ぶと高らかに宣言をしてくれたこと、覚えてる? あの日聞かせてくれた決意は今も変わってない? そうであってほしい、と心より願う。険しくても、困難でも、自分の信じた道を進んでほしい。まっすぐでなくてもいい、疲れたら休んでもいい、それでも、道から外れることなく、未来へと。——そんなことを思っていたから、10月31日更新の美Daysを読めて、本当によかったと思う。

 

金指くんが、ジャニーズ(いまは敢えてこの名前を使わせて欲しい)の、美 少年の、金指一世であったことを私は忘れない。忘れられるわけがない。大好きだった。本音を言うと、もっともっと見ていたかった。美 少年がデビューする日を、美 少年の金指くんが今よりも大きく・有名になって活躍する日を、見届けたかった。ステージの上の真剣な表情を、蕩けるように笑う姿を、楽しそうな笑い声を、5人のお兄ちゃんに囲まれた金指くんを、6人の美 少年を、ずっとずっと見守りたかった。

この数年で色々なことがあった。楽しいことばかりじゃなかっただろう。悔しい思いや嫌な思いもたくさんしただろう。それでも、ステージに立ち続けてくれてありがとう。たくさんの素敵な思い出をありがとう。人生のひとつのステージとして、ジャニーズを選んでくれてありがとう。走り切ってくれてありがとう。

こんな日が来るなんて思ってなかった。寂しくないなんて言えやしないし、今からでも嘘だよって言ってほしい。 なんで? どうして? 今じゃなきゃダメなの? 今のままじゃダメなの? 何度も何度も問いかけたけど、答えは永遠に返ってこないから、もう問いかけるのはやめにしようと思う。そして、金指くんの決断を尊重し、見守りたいと思う。

いま、今日までのすべてを心の宝箱にしまって、去り行く背中に手を振る。

本当にお疲れさま。自分の決めた道、抱いた夢のために、何があっても負けずに頑張ってね。頑張り屋さんの金指くんなら、必ず夢を叶えることができる。そう信じている。金指くんなら、大丈夫。

 

きみの未来に、光が照らし続けますように。願いながら瞼を閉じる。ありがとう。さようなら。未来のどこかで、答え合わせをさせてね。

西畑大吾さんのことを、突然好きになってしまった話

突然ですが、2024年突然なにわ男子の西畑大吾さんを突然好きになりました。……なぜ今?!

なにわ男子自体メジャーコンテンツだし、生まれながらのベイビーフェイスのせいで忘れがちだけど大吾さんだって30歳を目前にした27歳、大人の魅力が薫り立つちょうど良い年頃、いきなり新規のファンがつくのはなんにもおかしくない。でも、自分では『なぜ今?!』と思ったし、周りの反応も『なぜ今?!』なので、せっかくだから、これまでの経緯を記録に残しておこうと思う。

 

私となにわ男子と大吾さん

まず、私の話をする。初めて事務所のタレントのファンクラブに入ったのは嵐がデビューしてから数年後だった。関西の電波を受信できる四国に住んでいたので、まんまとデビュー前の関ジャニ8(当時表記)のオタクになり夏と冬は松竹座へ通うが、NEWSが当時の自担を含む2人が引き抜くかたち(引き抜かれてはいないが)でデビューし、事務所への不信感が募ったことで2005年ごろには茶の間になった。はずだったが、ひょんなことから2009年久しぶりに現場へ。そこから自担は代わりながらも細々と事務所のオタクを続けている。2009年時点では関東在住だったため必然的に東京の現場に通うこととなり、この15年ほど関西の様子は横目で見る程度だった。そんな最近の関西には明るくない、いい加減オタクでも、大吾さんのことはなにわ皇子ぐらいから認識はしていたし、なにわ男子の結成も人気ももちろん知ってはいた。

2021年7月、コロナ禍を経たデビュー発表に外野からおめでとうと思いながら、2021年8月のファンクラブ設立日を迎える。……別に推しはいないけど、とりあえず入っとこっかな。長年のオタクの勘が言う。推しがいなくともデビューコンは楽しい。しかも、なにわ男子はキラキラアイドル路線、絶対行って損はない。以前いつだったかのカウコンの放送前のジュニアコーナーでダイスマを聴いた時の、キラキラ…めっちゃキラキラ…今日来て良かった…という感動が蘇る。結果、設立日に入会ページでリロードを続け、あまりの繋がらなさに一度は心が折れたものの翌日の午前中に入会を完了した。格闘の末、無事に入会できたことでハイになり、コンサートは絶対行くことを決意した……軽い気持ちで申し訳ございません。(この時点での好きなメンバーは道枝くんにした。顔が美しすぎるので)

2022年、念願叶いデビューコンへ。何も知らないことを痛感するが、楽しかった。あまりにキラキラすぎる。アイドル。飛行機で登場して飛行機で帰っていくなにわ男子を見て、資金の潤沢さに震えた。ペンライトの色は紫かピンクと横アリまでの道中で話していたけど、当時の私はノーブル至上主義だったので、ピンクに軍配が上がった。大吾さんのことはまったく覚えていない。というのも、たぶん好きになる可能性は低いなと思っていたのだ。捻くれ者なのでわかりやすさに興味がなくてセンターを好きになることはまずない。顔の好みは道枝くんだし、根っからの危ういアイドル好き女の好きそうな危うさは恭平が断トツでぶっちぎっている。大穴は様子がおかしい最年少(当時の私は様子がおかしいアイドルしか好きになれない呪いにかかっていた)長尾くん、という気持ちでコンサートに乗り込んでいたので、マジで何も見てない。たぶん双眼鏡で捉えてすらいない。スタトロの記憶もない。後に映像で見返して本当に後悔したが、後悔は先に立たないので諦めるしかない。悔しいが。余談だが、この時長いオタク人生で初めて横アリスタンドの最後列を経験する。推しがいなければ最後列ほど気楽な席はないなと痛感した。

2023年、なんとツアーが当たらない。えっこわっ、人気すぎ……と怯えながら、ムキになって名義を更新した。来年は絶対当たる。

 

 

人を好きになる瞬間は、いつも突然

2024年、晴れてツアーは当選し当日を迎えたがあまりに体調が悪く一瞬当日欠席を考える。しかし、一緒に行く友人が優しい言葉をかけてくれたので持ち直して、東京-新横浜間の新幹線に飛び乗った。前述の通りデビューコンでスタンド最後列を引き当てていたため、それより後ろの席はないので意気揚々と入場。花道がある位置のアリーナ前列で、現金なので元気になる。

※このタイミングでは、まだ大吾さんのことは好きにならないです※

コンサートの構成がとてもよくて、途中から友人とふたりで「えっ、よくない?」と震え始める。クラシックリミックスの小洒落たオープニング、『恋やけどめ』で浴びたかわいいの暴力、平成を思い出してつらくなる赤衣装、『ちゅきちゅきハネムーン』からの『初心LOVE』で頭が混乱し意味不明ながらもテンションがあがり、大型セットを活用したステージ上での衣装替え、終盤は満を持しての『The Answer』『Live in the moment』のダンス曲で畳みかけ、『夜這星』で一度落ち着かせてから、切なさと煌めきに溢れた『Alpha』で公演を振り返る。変形高画質モニターの底力を感じながら、本編の幕は降りた。幼い頃から事務所のエンターテイメントに触れ、情緒を育てられおとなになった人間にとって、あの日あの時の感動の欠片を集めて再構築し得るコンサートだったと思う。アンコールが終わったあと胸がいっぱいで、不意に「自担はいないけど、もう一回見たいな」なんて呟いて、笑ってしまう。ここに来れば、アイドルの王道に触られると心の底から思った。 (後に映像で見たPOP MALLも似たテイストで構成も素晴らしかったので、やっぱりなにわ男子は裏切らないなと感心した)

コンサート中はやっぱり道枝くんの顔がきれいすぎて見惚れていたし、近くで見た流星さんのキラキラ具合に震えていたけど、大吾さんに関しては謎の平成を煮詰めたような赤衣装パートで赤のチェックシャツにハットをかぶってる姿を見て『スタイリングがナオトインティライミじゃね?』と思ったこと(このあとハットを投げたところでこのためか…となった)と、二宮担の友人が『サイズ感が二宮くん』と呟いていたという記憶しかない。ウケる。(後々友人から「私が『大吾が人気あるのわかるね』って言ったら『わかるよ』って言ってたよ」と言われたので、人気がある理由はわかる気になっていたらしい。覚えてないけど)

 

コンサートが終わり、なにわ男子ええやん!となった私は、まずは手頃な、なにわTubeを見ていた。個人の感想だが、なにわ男子のYouTubeはふわふわしている。関西特有の鋭さは少なく、穏やかでゆったり時間が流れている。都会の道端でよく見かけるカートに乗せられてお散歩している園児を見ている時のような気持ちになる。いいな、落ち着くな、などと思いながらコンサートから一週間ほどひたすら動画を見続け、メンバーのキャラクターや関係性がなんとなくわかって、更に微笑ましく動画を楽しめるようになったが、依然として誰が好きというよりは、なにわ男子が好きという気持ちだった。この時点での大吾さんに対する印象は、しっかりものの司会者。笑った時に見える八重歯がかわいい。以上。

そんなある日、仕事から帰って日課となったYouTubeの過去動画を見ている時だった。この日見たのは、メンバーがパスタを作る動画だ。

トマトパスタを作ろうとしたTHE 普通の男の子の道枝くんが、おぼつかない手つきで食材を切っている。トマトを切る時の様子にヒヤヒヤする。手は切らないでね…と思っていたら、今度はソースに入れるニンニクを切ろうとしている。大丈夫?できる?と動画を見たオタクは思った事だろう。私も思ったし、隣で見ている大吾さんも心配そうだ。案の定、なんともおそろしい手つきでみじん切りするためにニンニクを潰そうとする。あ、Apple Watchが飛んでいきそう、こわっ、こわい、こわいよぉ……と心配になったその時、見かねた大吾さんが包丁をもらい受け、包丁越しにニンニクに拳を叩きつける。

いや……意味不明だけど、この瞬間、大吾さんのこと好きになっちゃったんだよね。

ここまで道枝くんが四苦八苦する姿を見ながら、口も手も出さずに見守っていたのに、さすがに危なっかしくて手を出しちゃう瞬間、溢れ出る兄感。

えっえっえっ、待って! わ、私もニンニク潰してほしい…!!!!

もう事故。絶対事故。心配そうな表情で手元を覗き込んでる姿も、気持ちはすでに手伝いにいってる手元も、タイミングを見計らって差し出す手も、勢いよくニンニクを叩き潰す男らしさも。一瞬で致死量の癖(ヘキ)を浴びてしまった。postでは好きになりそうって言ってるけど、もう好き。好きです。はーーーー、ニンニク潰してほしい……一生叶うことはないこの願いを胸に、西畑大吾さんを推していくことを私は決意したのであった……。

人を好きになる瞬間ってほんといつも突然ですね。でも、そこ?!って思いますよ、私も。

 

 

大吾さんの好きなところ

といった意味不明なきっかけで、2024年になって西畑大吾さんを推し始めたわけだが、推し始める瞬間特有の葛藤がまったくゼロだったことに自分としてはびっくりしている。もちろん、なんで今?!とは思うし、周りもそう思ってると思うけど。ニンニク潰す場面で事故ってすぐに友人と公園で花火をした時に「なんか大吾にハマりそう…」と呟いてから、一週間ほどで過去のコンサート映像を見始めて、さらに一週間ほど後にはもう出来上がった状態で別の友人に大吾さんのいいところを話していた。細かくて伝わらないダンスの好きとか生々しすぎる胸キュンの好きとか、ぶわっと込み上げてきた感情を言葉でも文章でも表していると幸せな気分になる。現場はチケットの手配が間に合わず見送ったけど、KAMIGATAは配信もあったし良かったなと思う。きっかけはニンニクを潰してほしかったからだけど、それをきっかけに大吾さんのことを見つめているとたくさん好きなところが見つかるので、事故に遭ってからの毎日はずっと感動している。

 

大吾さんの安定感が好きだ。光の当たる場所にいるアイドルの西畑大吾はファンを絶対裏切らないって思えるところが好きだ。長年センターで関ジュを背負ってきた大吾さんの経験と覚悟がその安定感に繋がっているのかなと、何も知らないながらに思う。そんな重い思いをアイドルに背負わせなくないとは思うけど、それでもそう期待してしまうほどアイドル西畑大吾は完璧で、何の恥ずかしげも苦悩もなさそうにかっこいいもかわいいも背負ってくれる。

大吾さんのダンスの気迫が好きだ。かっこつけるときはかっこつけるし、かわいいに全振りしてるときはかわいいけれど、真剣に踊るダンス曲で見せてくれるキレのあるダンス。鬼気迫る表情や踊り終わったあとに肩で息をする姿もかっこいい。

大吾さんの声が好きだ。音源で聴ける透き通った歌声も、コンサートの生歌で聴けるちょっと低めでセクシーな声も、YouTubeで回しをしてる時の落ち着いた聞き取りやすい声も、楽しくなってる時のちょっと高い声も、コンサートあとの収録でちょっと掠れてる声も、ラジオの時に聞けるいつもより低い声も。

大吾さんのかわいいところが好きだ。しっかりものでお兄ちゃんだけど、同期といる時のまったく力の入ってない感じも、意外とゲラでツボに入ると笑い続けてしまうところも、お茶目でふざけたがりなところも。

センターに立つ大吾さんが好きだ。どこにいたって輝いているけど、そこが彼の場所だと、きっと本人も、周りも思っている。それを背負った瞬間、いつもより更に輝きを増す大吾さんが、そんな大吾さんのこれまでの道のりが、眩しくてずっと見ていたくなる。

 

見ようと思うと見えてくる発見がめちゃくちゃ楽しくて、なぜ今?!だけど、今!!西畑大吾さんのことを好きになれて良かったなー!!と心の底から思う。今だから好きになったわけやなくて、好きになったのが今だっただけやねん、知ってた。新規ハイが楽しすぎるし、大吾さんがあまりに魅力的なので今アクセル全開728km/hでぶっ飛ばしているので事故には気をつけようと思う。あ、もう事故ってるからこうなってんのか。

というわけで、みなさん、お料理企画のニンニクにはご注意ください。

一生懸命頑張ることがSexy

2022年、年の瀬の慌ただしい空気の中、一通のメールが届く。なんとなくいつかそんな日が来るような気がしていた。でも、来ないかもしれないと、来ないほうがいいなとも思っていた。12月30日まで働いて、まだ実感がわかないまま大晦日。カウントダウンコンサート。夜が明けて、1月1日になって、ようやく、ゆっくりと寂しさが沁み入ってくる。

私は、当事者のようで当事者ではない。だから本当の寂しさはわからない。それでも、11年。5人のSexy Zoneの見ていた。

大人の決めたやり方 それが正解なの?

そう問いかけた子供が大人になるには十分な時間だった。子どもの頃描いた夢と大人になって描く夢が違うのはごく当たり前のことだと思う。新しいステージは飛び立とうと羽を広げたマリウスの姿は、とても美しかった。

強く美しい彼らはいつだってまっすぐ前だけを見ていて、その胸の中にあるものを教えてくれない。だから本当の気持ちはわからない。けれど、客観的に見ても、まだ子供だった彼らに大人が強いた道筋は、とてもではないけど楽しいだけのものではなかっただろう。それでも、11年間は大切な宝物だと眩い笑顔で言ってくれたマリウスの強さと優しさに、心から感謝している。

その胸に抱いた新たな夢が叶いますように。叶わないなんてことはないだろうし、何があっても、きっと、叶えられるのだろうけど、そう祈らせてほしい。

 

楽しいことばかりじゃなかったけど、思い出すのは楽しかったことだけで笑っちゃう。ボケてるんだか天然なんだか、よくわからない不思議な空気感で、それでも楽しそうに5人で笑っている姿が、宝石みたいにきらきらした笑顔で、ペンライトの海を見ていた5人が、浮かんでくる。

揺るがないと変わらないと思っていたものが変化していく寂しさは、何度経験しても慣れない。笑って送り出さなければと思ってはいたけど、やっぱり寂しい。頭ではわかっても、心はそう簡単に言うことをきいてくれそうにはない。でも、今はまだ、寂しくていいかな。私たちが、そして彼らがこだわり続けた5人のSexy Zoneの11年間にはそれだけの思い出がある。平坦ではない凸凹で今にも抜け落ちそうな大地を、傷だらけになりながら一生懸命走り続けた5人を見ていた時間にはそれだけの価値がある。

この寂しさは、11年間、5人が最高にSexyだったという証明だから。

一つの世界が生まれた日

2004年2月9日、最高気温11.6度、春の近付く晴れた日。何時何分かはわからないけど、きみはこの世界に産声を上げました。
きっとその瞬間、どこかで流れた星の欠片がきみのもとに祝福の歌を届けたよ。
『世界に一人だけ』そうきみを名付けたご家族も、いまも節目節目に同じ時間を過ごすご親族も、やっときみに会えたことを心から喜んだでしょう。
ひとりっ子のきみはきっと大切に大切に育てられたと思います。もしかしたら寂しい思いをすることもあったかもしれないけど、ひとりっ子って案外強いから。悲しかったり悔しかったり涙を流したこともあっただろうけど、その何十倍も何百倍も多くの時間を、大好きな人たちに囲まれて、幸せに過ごしたのではないでしょうか。だって、きみが見せてくれた子供の頃の写真は、どれも本当に幸せそうに笑っているもの。
そして、5年前、2016年6月19日。12歳のきみは新たな一歩を踏み出しました。松木潤くんに憧れて、ジャニーズに入りたいと言ったきみに、ご家族はなんて言っただろう。きっと応援してくれたと思うけど、私がきみのご家族なら少し心配したかもしれません。
はじめてのステージから見る景色に、きみは感動したでしょうか。初めてファンレターをもらった時、初めて自分の名前のうちわを見つけた時、きみは嬉しかったでしょうか。もしかしたらその瞬間、きみは自分がアイドルであると認識できたのではないでしょうか。
同期の龍我くんが先にグループのメンバーに選ばれた時は、悔しかったんだよね。おっとりしていてまだ頑是ない子どものように見えるきみが、そんなふうに思ったことは意外でした。でも、私はそう思ったきみのことをとても好ましく思います。
2017年の春、突然東京B少年に加入したきみ。喜びと不安が半分半分だったね。きっと、たくさんのなんで?を繰り返したと思います。あ、彗星が流れたんだ。私は遠くの世界をちらりと見て、すぐに元の世界を歩み始めました。
きみが加入してすぐの話を、人伝に聞いたことがあります。ステージの上で、お立ち台に降りた客席で、たくさんの観客を目の前にして怯えていたこと、MCでは全然しゃべらなくて、話を振られてしゃべってもひと言ふた言生意気なことを言ってたこと。何回聞いてもかわいくて笑っちゃうんだけど、きっとその時のきみからしたら笑い事じゃなかったよね。
当時のことを振り返るとき、「自分だけ何もできなかった」「たくさん怒られた」といつも言ってるね。私が想像しているよりずっと、きみを取り巻く環境は厳しいものなのだと思います——それは、今もきっと。たくさんの人の一生懸命がぶつかる場所は、まだ幼いきみにはつらく感じられることもあったかもしれません。でも、きみは諦めませんでした。
リハーサルで怒られるとふてくされていたきみが、素直にアドバイスをきけるようになったきっかけは何だったのかな。素直であることは、きみを成功へと近づけてくれます。過去の自分に素直であることをアドバイスするきみに、そんなこと言わなくても大丈夫だね。
グループに加入してから、あっという間にダンスが上手になったね。でも、あっという間だと私が思えるのは、実際にきみがどれだけの時間を費やしたかを知らないからなのだと思います。
いつの間にかアクロバットまでできるようになったきみに、きっとファンもメンバーも驚かされたことでしょう。始める決意をしたことと、たゆまぬ努力を続けたことが、きみだけではなくグループのパフォーマンスの幅も広げたと思います。
去年は、憧れの松本潤くんのバックで踊ったね。緊張したと言っていたけど、そんなことを感じられないくらい堂々とステージに立てていたよ。個人的には、見慣れた光景の中にきみを見つけた時、とても不思議な感覚に襲われました。でも……だからこそ、寂しさが少し薄れ、いつも以上にコンサートを楽しめたように思います。彼らの背中を前にして得た感覚は、きみだけのものです。どうかそれを未来に繋げてください。
ステージに立つきみは、いつも堂々としていてとてもかっこいいです。生まれ持ったものもあるだろうけど、その姿をきみが創ったんだと思えるから、とてもかっこいいんだと思います。でも、ここが最高到達点ではないと思う。きみはもっとかっこよくなる。そう確信しています。
コンサートのソロでは、自分のやりたいことと得意なことを組み合わせて、しっかりと魅せるステージを作ってくれるね。色んなことに興味を持ち、絶えず挑戦を続けるきみは、これからエンターテイナーとしてどんどん成長していくと思います。また新しいきみと出会える日を心待ちにしてるね。
きみの努力が自信と余裕につながり、人見知りのきみもグループの中でのびのびと振る舞えるようになりました。グループに居場所がないと感じることは、きっともうないと思います。メンバーに囲まれて、きみが自由に話し、笑っている様子を見ると、思わず笑みが溢れます。これからもっとたくさんそんな姿を見られるといいな。色んな場所で、きみの個性を発揮できる日がくることを楽しみにしています。
メンバーは家族だけどライバルだと言うきみは、自分に厳しいけど強い人だと思います。きみにとっての彼らは、自分より先をいく存在だったのかな。きみが肩を並べたと思えた時には、きっともっといろんなことが話せるようになるよ。もう、その時は来ているのかもね。
一番遅く生まれたきみより、彼らは先に大人になっていくけど、それはきみがたくさんの未来のかたちを垣間見れるということだと思います。学ぶ時は学び、それを昇華して、きみなりの未来を切り開いてください。それがきっと、みんなの成長にも繋がると思います。でも、迷った時はみんなに頼ってね。みんなはきみの家族なんだから。
私生活では、この春高校三年生になったね。学校は楽しいですか? 周りの友だちと比べると学生生活を満喫することはできないかもしれないけど、それでもできる範囲で今という時間を楽しんでほしいです。
お仕事もさらに忙しくなって、芸能活動と学業を両立することが以前より大変になっているかもしれません。もう受験生だね。大学に進学して知見を広げたいと話しているきみに、大学は本当に楽しいところだと伝えたいです。何を学ぶのか何を得るのか、それはすべて自分次第。知識は人を裏切りません。大学生になったきみを応援できたら、もっと楽しくなりそうです。
いつだったか、アクション映画に出たいと言ってた、きみ。去年始めたキックボクシングのおかげで、ずいぶんとしっかりした体になったね。しなやかな筋肉に包まれたきみの体は、以前よりもっと美しく動くようになったと思います。きみはとても美しいです。凛々しい眉も、意志の強さを映す黒い瞳も、心のまっすぐさを表すようなすっと通った鼻梁も、愛情深さを感じさせる口元も。それが乱れることなく配置されたきみの顔は、どんなに大きな画面にも耐えうると思います。初めて出演したドラマできみはたくさん苦労をしたけど、そのぶん得るものは大きかったのではないでしょうか。これから先、きっとチャンスが巡ってくると思います。チャンスの神様は前髪しかないから、その時自信を持って手を伸ばせるように、たくさん感性を磨いてください。
いつか、きみの姿をスクリーンで見てみたい。もしも、その日が来たら誇らしくって、きっと——泣いちゃうなぁ。
他にもたくさん。本当にたくさん。両手では抱えきれないくらい、たくさん。きみの夢が叶ってほしい。夢を叶えるのはきみだけど、その手助けになればと思いながら、私は今日もきみを応援しています。
また夢ができたら教えてね。
きみが夢を抱けるということが嬉しいから、どうかその夢を応援させてください。

☆

決められた空の中、時に雲間や星の陰を見つめ、小さなカケラを繋ぎ合わせながら、私はきみを見つめています。きっと、集めたカケラの中には、“私”が見出してしまったものもあるんだと思う。
本当のきみとアイドルであるきみは、きっと少し違うでしょう。もしかしたら、ふたつのきみを行き来することを窮屈に思うこともあるかもしれません。
ひとりの人間である私はそれを心苦しく思うこともあるけど、ファンである私はもう少しだけこの世界が続いてほしいと願ってしまいます。

『世界に一人だけ』
アイドルを見つめている時、そんな言葉が浮かびます。その世界はうつろいやすくて、いつか見えなくなってしまうこともあるけれど、確かに存在しています。
きみが初めてもらった手紙を書いたその子も、きみが初めて見つけたうちわを作ったあの子も、その瞬間、世界に一人だけのアイドルであるきみを想っていたはずです。
きみのご家族がきみにくれた名前は、予言みたいだったね。
きっと、これから先、きみの名前はもっと特別なものになるよ。

5年前、2016年6月19日。
アイドルとしてのきみが生まれてくれたことに感謝しています。
そして、今、2021年6月19日。
きみがアイドルであることを選び続けてくれたことに感謝しています。
こんなにも楽しくて幸せな時間の使い方をさせてくれてありがとう。
一緒に夢を見させてくれてありがとう。
これからも、アイドルである金指一世くんを応援させてください。

 

きみに手紙を書いたことがない。

きみに手紙を書いたことがない。
これから先、書くことはあるんだろうか。
どういうふうに書けばいいのかわからなくて、ちょっと気後れしてしまう。

私の高校時代がきみとともにあったらよかった。
空に想いを馳せるのは、春だからでしょうか。真新しい制服に袖を通して、玄関を開けた朝を想い、ありもしない私のことを考えてみます。
高校生の私は、最寄駅のコーヒーショップできみに手紙を書くと思います。電車を降りた瞬間衝動的に文房具屋さんに入って、一番シンプルな便箋を買うでしょう。封筒の色はきみが好きな紫。背伸びして飲み始めたブラックコーヒーはまだまだ苦いけど、早く大人になりたくて、息を止めてごくんと喉を鳴らす。
テスト勉強をするために行ったはずの図書館でも手紙を書くでしょう。きみが出たテレビ番組の話、配信された動画の話、きみが書いたブログの感想は毎回必ず。勉強はまったく捗らないのに、きみへの手紙はすらすら書けるの。不思議だねって、心の中できみに話しかけて、恥ずかしくなって少し笑う。図書館の大きな窓の向こうには緑の
眠れぬ夜、デスクライトの明かりを頼りに手紙を書いた翌朝は、死にたい気持ちになる。それなのに何度も繰り返して、きっと六度目に封をする。
どうか、きみに読まれませんように。/どうか、きみに届きますように。

想像するだけでなんだか楽しくなってきた。
こんなふうに迷いなく手紙を書けたらよかった。
どうやら私は、早く生まれすぎたみたい。

☆

当たり前が当たり前でなくなってしまった窮屈な毎日に、彩りを与えてくれたのは、まぎれもないきみでした。YouTube、テレビ、雑誌。きみを見つめる初めての夏は、目が回るくらい忙しくて瞬きひとつの間に駆け抜けていきました。
きみが笑うと楽しくなって、ちょっと顔つきが大人になったことが嬉しくて、気付けば笑ってばかりいたから、もしかしたら目尻に笑い皺ができてしまったかもしれません。それって、とってもしあわせなことだね。
今でも時々、きみを応援している自分が信じられなくなる時があります。でも、きみの名前は、あの頃よりずっと、指先にも唇にも馴染んだと思います。

きみはとてもかわいいです。どこが?って訊かれたら、迷いなく全部って答えるくらい。
容姿も声も仕草も、あどけない自由さも、時々顔を出す無邪気ないたずらっぽさも。
ステージで見せる真剣な表情や、自分自身に向ける確かな眼差しはかっこいいし、不意に見せる大人びた表情や仕事に対するスタンスの明確さは美しい。
それでも、私にとってのきみは、とてもかわいい存在です。
きみがあまりにかわいいから、余計なお世話だと思いながらも、きみのために何かできないかな、と考えることがあります。
こんなこと今まで思ったことなかったのに、すこし不思議。それくらい、きみはかわいいです。

きみのことが——

☆

私の高校時代がきみとともにあればよかった。
高校生の私は、きっときみに恋をしている。
教室でも塾でも家に帰っても、いつでもきみのことを考えている。友達にきみのことが好きだと、きみはこんなにかっこいいと、たくさんたくさん話をする。
はやくお仕事が決まってほしい、はやくきみに会いたい。待ちきれないその時間は、きみを想ってファッションの勉強をしたり、メイクの練習をしたりする。きみが好きだと言ったことに興味を持つし、おそろいがたくさん欲しくなる。
コンサートや舞台の前の日は眠れないだろう。もしも、きみを間近に感じた日にはきっと幸せすぎて苦しくなるに決まっている。
届かなくたって、叶わなくたって、そんなことどうでもよくて、毎日きみを思って笑ったり、泣いたりしている。
きみの名前を口にする。やわらかい。きれいな音。キラキラしてる。冬の朝、積もったばかりの雪みたいに優しい。びゅうっと風が吹いて、輝きながら舞い上がる。行かないで、消えないで。——きみのことが好き。
花のベッドに寝転んだら、光のカーテンが頬を撫でていく。そんな小さな庭の真ん中、きみへの恋をばれないように織り込んで、たくさん手紙を書くだろう。

でも、現実はそうじゃない。
毎朝満員電車に揺られて会社に行く。帰りの電車、窓に映った疲れ切った表情に過ぎていった時間をありありと感じて悲しくなる。仕事で失敗して落ち込んだり、大切な人を傷つけてしまって悩んだり、遠く離れて暮らす家族のことを心配したりもする。家に帰れば家事が溜まっていて、めんどくさくて洗い物をサボった翌朝はテンションが下がる。何もかもがいやになって、湯船で静かに泣く夜もある。
誰かとする話は、昔より重く苦しいものも多くなった。きみのことを、あまり多くの人に話しはしない。
それでも、雑誌の表紙を捲る時、きみの名前のとなりに灯る小さな赤いマークを見つけた時、そんな些細な瞬間に、澱のように溜まった疲れが不思議と軽くなる。白い光の中をゆく電車、月の明るい帰り道、きみのことを考える短く眩しい時間が、渇いた心を潤してゆく。
きみに手紙を書いたことがない。

もしも、きみより早く生まれなければ、これほどまでにきみのすべてがかわいいと思うことはなかっただろう。きみのために何かできることがないかと考えることもなかっただろう。
きみはこれからどんどん大人になっていく。だけど、私にとってのきみはずっとかわいい存在のままだと思う。一年後も、五年後も、十年後だって、その頃お互いに変わらずにいたなら、きっと私はきみのことをかわいいと思っている。

きみに手紙を書いたことがない。
でも、いつかきみに手紙を書くだろう。
もしもの話は叶わない。
それでも、私はきみのことがとても『好き』だから。