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アイドルが好きです。

アンコール!〜BACKBEATの思い出、戸塚担編〜

6/23に千秋楽を迎えてから気付いたらひと月が経った。時間というものは残酷で、千秋楽のカーテンコール、あの熱狂の渦の中にいた瞬間と同じ感覚になることはもうできない。いや、たとえ昨日が千秋楽だったとしてもそれは不可能だろう。それでも『楽しかった』という気持ちだけは残っている。

覚書は書いたけど、なんとなく戸塚担としてこの舞台のことをきちんと振り返ってはいなかったと思い、このブログをしたためている。今更かなぁと思うけれど、今更でも書いておかないと忘れてしまうから。これが本当に最後。1つは適当な箇条書きとはいえ、4記事も書けるほど私はこの舞台が好きだったんだなぁ。

 

生きてる戸塚くんを見ている

これは、初日の公演後に私が思ったことだった。もしかしたら、気のおけない男友達とはこういうノリで話すこともあるのかなぁとか。もしアイドルじゃなかったら、このくらい自由に生きてたかもなぁとか。大袈裟にいうと普段よりもっと濃密に『人間』っぽさを感じたという感じだろうか。戸塚くんがスチュアート・サトクリフという役を演じているはずなのに、スチュアート・サトクリフという役を通して戸塚くんの中にあるかもしれない可能性を見たような気持ちになった。いつも妙に優しい役だったり、内側に大きな陰を抱えている役だったり、不思議とこういうリアルな人間っぽい役を演じたことがなかったんだなぁと思う。(つか舞台も人間ではあったけれど、やっぱりどこか芝居がかっていて非現実的でリアリティがなかったように思う)そういう役を演じている戸塚くんを目にするのはとても新鮮だったし、何よりも本人がのびのびと演じているように見受けられて本当に嬉しかった。それだけでも戸塚担としては十二分に実りのある舞台だったと思う。

 

音楽の中に在る

演奏をしている戸塚くんを見られたのも、とても良かった。かなり練習したんだろうなと初日から思った。千秋楽に向かうにつれてバンドパートはどんどん良くなっていった気がする。演奏面のことは私は門外漢なのでよくわからない。それでも良くなっていったと感じるのは、彼らを包む空気感によるところもあるのかな。毎公演演奏を重ねるごとに彼らはビートルズに近付いていったのではないだろうか。彼らが実際に演奏していた音楽に触れることで、その音楽とともにいろんな場所を回ることで。この舞台をより良いものにしたのは音楽だった。

音楽が好きな戸塚くんが、音楽の中に在る瞬間を見られたのも戸塚担としてとても有意義だったと言える。ミュージカルもやったし、ストレートプレイでも歌ったり、踊ったり、ギターを弾いたり。音楽と関わりのある舞台は多かったけれど、ここまで密接に音楽と関わって、むしろ音楽がその一部だと思える舞台は初めてだった。あくまでも舞台の上にいるのは演じている戸塚くんだから、戸塚くんその人が音楽の中に在る時とは少し違うけど、今回初めて手にしたベースを演奏している戸塚くんというのは新鮮だったし、戸塚くんの音楽に対する取り組みにまたひとつ影響を与えたのではないかと思った。(後日、レギュラーラジオで披露された『ラセン(仮)』について、本人もジョン・レノンのナンセンスさを意識してと話しているし)

あと、大千穐楽のカーテンコールのJohnny B. Goodeはスチュアートではなく戸塚くんだったと思うし。その場の空気感も含めて音を楽しんでいる戸塚くんを見られるのはファン冥利に尽きる。

 

ひとつの呪縛から解き放たれた

劇中にラブシーンがあった。キスシーン自体は昨夏の『トーキョーエイリアンブラザーズ』でもあったけれど、観客の大多数がファンであろう舞台でここまできちんとしたラブシーンがあるのは初めてだった。嬉しくて「おめでとう!」って拍手を送りたくて仕方なかった。見出しに『呪縛』というあまりよくない言葉を使ったけれど、私個人としてはこれは呪縛だったと思う。私は人の感想や意見にまったくといっていいほど興味がないので、BACKBEATのラブシーンを見たファンの人たちがどういうふうに思ったのかは知らない。だから、ここから先はあくまで私の話。私は自担のラブシーンが好きではない。ただ、いやなわけではなくて、むしろそういうシーンがあってほしい。自担にはファンの心理なんて踏みつけてどんどん大きくなっていってほしい、と思っているから。なんというか、裏切ってほしいのだ。裏切って、裏切って、こんなもんだよねという想像もつかないほどどんどん遠くへ行ってほしい。毎回毎回同じことをやってほしくない。こんな役見たことない。こんなシーン見たことない。そんな体験をさせてほしい。ヴァはそういう意味では不十分だったから。ここまできて、今まで戸塚くんがやってこなかったことが見られて嬉しかった。やっとここまで来たんだなぁと感慨深くもなった。すごく、嬉しかった。

 

『愛』に溢れた人

戸塚くんがスチュアート・サトクリフだったかというとちょっとよくわからない。演出の石丸さんがトークショーで言及されたそうだが、戸塚くんの持ってきたスチュアートは彼女の頭の中にあったスチュアートとは別のアプローチだったようだ。『男らしくて、繊細だけどそれを愛で包んだような人』と、戸塚くんがつくったスチュアートを石丸さんは評されたそうだ。原作の映画を観ると、映画のスチュアートと舞台のスチュアートがすこし違うことはよくわかる。

戸塚くんのスチュアートは、弱さや脆さ・葛藤を『愛』でねじ伏せて前を向いているように見えて、そこがまた戸塚祥太その人に似ているから、回を重ねるごとに愛おしくてたまらなくなったんだろう。それがいいのか悪いのかはわからないけれど、結局のところ『愛』という彼が一番大切にしているものにたどり着いてしまうところが戸塚くんらしくて、戸塚担としてはどこか誇らしかった。

 

 

BACKBEATでは、戸塚くんの新たな一面を見ることができた。一方で、根底にある部分は彼がいつも大切にしているものだった。だから、この舞台は私に心地よさと高揚感を与えてくれたのだろう。

アンコール!といきたいけれど、二度とそこには戻らず前に進んでいくからこそ、思い出は尊いものになるのだろう。一ヶ月にも満たない短いけれど、エキサイティングした時間を忘れずに、戸塚くんが素晴らしい作品に出会ったこと、そして、そんな作品を見ることができたことに改めて大きな感謝を。BACKBEATと共にあった2019年の初夏は、最高の初夏でした。